肝胆膵疾患とは

肝胆膵疾患とは、肝臓、胆道、膵臓で起きる病気や症状の疾患のことを言います。

具体的には、脂肪肝、ウイルス性肝炎、肝硬変、胆石、胆嚢ポリープ、膵炎、膵のう胞といった病気についての診療を行います。

なお、上記の病気や症状などについては、日本肝臓学会が認定する肝臓専門医でもある当副院長が担当します。
当院はB型・C型肝炎患者医療給付事業における指定医療機関、肝疾患診療協力医療機関であり、申請に必要な診断書を交付することができます。

主な肝胆膵疾患

脂肪肝、脂肪性肝炎

肝臓に脂肪が蓄積する病気で、肥満が伴うことが多いです。
これといった症状が現れることは少ないですが、人によっては疲れやすい、だるい、腹部の違和感といったことが現れることもあります。

主な原因は食べ過ぎなど栄養の過剰摂取による場合、もしくはアルコールを大量に飲酒しているケースが考えられます。
症状を進行させると肝炎・肝硬変・肝がんの原因となることもあります。

ウイルス性肝炎

肝炎ウイルスが肝臓に感染することで炎症が起きている状態がウイルス性肝炎です。
同ウイルスについては、A(HAV)型、B(HBV)型、 C(HCV)型、D(HDV)型、E(HEV)型の5種類ありますが、日本人がよく感染するB型とC型ですが、日常生活で感染することは稀です。

B型肝炎ウイルスの場合、母子感染、血液・体液感染によって感染し、発症します。
母子感染は乳幼児に感染するケースがほとんどで、慢性化しやすく、自覚症状が現れにくいと言われます。

その後、成人以降になって肝硬変や肝がんを発症しやすくなるとされています。
また、成人で感染すると、初感染の時期や健康状態にもよりますが、一過性の感染で済むケースと感染が半年以上持続してしまう持続感染になることがあります。
後者の場合は、B型慢性肝炎と診断されます。なお慢性化してしまうと肝硬変や肝がんを発症する確率が高くなります。

C型肝炎ウイルスでは、主に血液感染(針刺し事故、輸血、注射針の使い回し など)によって感染、ウイルス性肝炎の中でも最も慢性化しやすいタイプです。C型に感染して炎症が持続(慢性化)してしまうと肝硬変や肝がんを発症するリスクが高くなります。 ちなみにC型肝炎感染者の7~8割程度の方が慢性化(C型慢性肝炎)し、その後、肝硬変、肝がんへと進行するようになります。
自覚症状についてはあまりみられませんが、初感染時に倦怠感、食欲低下、発熱などが現れます。

肝硬変

肝硬変とは、肝臓への障害が続く(慢性的な炎症)などすることで、肝臓が線維化、いわゆる硬くなってしまい、同臓器が機能しなくなっている状態を言います。
原因についてはB型・C型といったウイルス性肝炎、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪性肝炎、自己免疫性肝炎など長期的に肝臓が損傷される病気が挙げられています。

主な症状ですが、初期でみられることはあまりありませんが、症状が進行すると食欲不振、体がだるい、疲れやすい、全身がむくむ、黄疸(皮膚や目が黄色くなる)などが現れるようになりますが、肝がんや食道静脈瘤といった病気も発生しやすくなるので要注意です。

なお、肝硬変には根本的な治療法はありませんので、対症療法や日頃の生活習慣を見直してこれ以上進行させないようにしなくてはなりません。 日頃から定期的に健診などを受け、早めに治療や予防を行うことが大切です。

胆石

胆石は胆道にできた結石を言います。

なお、結石があるだけでは症状が現れないこともありますが、人によっては、食後に右脇腹が痛くなる、吐き気・嘔吐、食欲不振などが起きることがあります。
また胆のうの出口や胆管で詰まるようになると強い痛みが突然起きるようになります。 この胆石ですが、脂質異常症を発症している方に起きやすく、そのほか、肥満の方、40代、女性などにもよく見受けられると言われています

症状がある場合は、痛み止めや胆汁の流れを改善する薬を使用しながら、詰まりを解消させるようにします。
ただ、胆石が大きい場合や胆のう炎などを起こしている場合は、手術をする必要があります。

胆のうポリープ

胆のう(胆汁を一時的に溜めておく臓器で食事の際に排出する)の内側にできるポリープのことで、その種類は1つとは限らず、良性と悪性があります。
多くはコレステロールが粘膜に沈着することで発生する治療の必要がない良性のコレステロールポリープが大半ですが、腺腫性のものからがんへ移行するケース、胆のうがんの可能性もありますので、注意が必要です。

なお、ポリープが発生することによって起きる症状というのは、ほとんどありません。そのため、健診などで行う腹部超音波検査等で胆のうにポリープが発見されたということが良く見受けられます。

発生の原因としては、肥満や脂質異常症など、不摂生な生活習慣が引き金となって起きることが多いようです。コレステロールポリープでは良性なので経過観察ということもありますが、胆のうがんの可能性がある場合は手術療法(開腹胆のう摘出術 など)が行われます。

膵炎

膵炎は大きく急性と慢性に分類されます。

急性膵炎とは、膵臓から分泌される膵液が原因となって、膵臓の周囲の臓器が損傷を受けている状態を言います。
アルコールや腹部の外傷などがきっかけとなって起きる、あるいは胆石や膵臓にできた石が膵臓で分泌されている膵液の流れを妨げることで起きるといったことが考えられています。
主な症状は、みぞおちから左上腹部にかけての強い痛みや背部痛、吐き気や嘔吐などです。 重症化しやすく、死亡率も高いので、上記のような症状がみらえたら直ちに治療を行う必要があります。

一方の慢性膵炎は、膵臓の炎症が長期に渡って続いている状態で、それによって膵臓の細胞は破壊されて線維化し、硬くなってしまうことで膵臓の本来の機能が失われてしまう疾患を言います。
原因としては、毎日大量の飲酒をしている方、女性の場合は原因不明なケース(特発性慢性膵炎)によって発症することもあります。

主な症状は、上腹部の痛みや背部痛で、前かがみになると楽になると言われています。 また消化酵素が十分に出ないことで、体重の減少や下痢もみられます。
そのほか、吐き気・嘔吐、食欲不振なども現れます。このほかにも膵炎の病状が進行するとインスリンが不足して糖尿病を併発することもあります。